ウィル・スミスのビンタ事件について~日本とアメリカの反応の違い~結局ウィルが悪いの?クリスが悪いの?

ウィル・スミスの事件について知らない方もいるかもしれないので軽く概要を説明します。

問題の映像の日本語訳はこれです。

【ウィル.スミス】日本語字幕あり アカデミー賞でビンタ - YouTube

これはアメリカで起こった事件です。

アメリカではアカデミー賞というとても有名な映画の祭典があります。

アメリカ映画の発展を目的にキャストやスタッフを表彰し成果を讃えるための映画賞(通称“オスカー”)として、世界的にも注目を集めています

オスカーって誰のこと? アカデミー賞についてやさしく解説! - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)

ウィル・スミス(以下ウィル)はこの式典に妻であるジェイダ・スミス(以下ジェイダ)と出席しました。

ウィルの妻は脱毛症を患っており、頭を完全に丸刈りにしていて、今回の式典も特にかつらを被ったりすることなくそのままのスタイルで出席していました。

この時の司会はアメリカで5本の指に入るくらい超人気コメディアンのクリス・ロック(以下クリス)が務めていました。

アカデミーでは司会が出席したセレブをディスって笑いを取るということが慣習で行われており、クリスはもともときつい毒舌キャラで売れているコメディアンというのもあり今回ももれなく様々なセレブをディスってました。

そしてウィルがディスられる番となったときに、クリスは隣の妻に向かって「ジェイダ!大好きだよ!G.I.Jane2が楽しみだ!」という発言をしました。

G.I.Janeは有名な映画で海軍に属する丸刈りの女性が主人公で、彼女が男性に負けずに厳しい特訓をするといったものです(私は見たことないのでネットの情報です)。

会場では多少笑いが起きていましたが、このジョークに対してジェイダは明らかに不快そうな表情をしました。

笑っていない人もいました。

クリスは「このジョークは良いジョークだよ」と言いました。

ウィルはこのジョークに対して最初は笑顔だったのですが隣の妻の表情をみて態度を一変させ壇上にあがりクリスの顔に思いっきりビンタしました。

映像を見ましたが殴ったのかと思うくらいの音がしていました。

ビンタの回数は1回です。

そのあとウィルは席に戻り「妻の名前をお前の汚い口で話すな」といったことをfワード混じりでクリスをなじりました。

fワードとはアメリカのテレビでは禁止用語とされている汚い言葉です。

日常では使われているみたいですが、本当によくない言葉だとされています。

さすがにこの時は空気が凍り付いてた感じが見受けられました。

それに対しクリスは「ok、ok言わないよ」といって「今夜はテレビ史上に残る最高の夜だね」とジョークを言って進行を続けました。

ウィルはその後主演男優賞を受賞しそこでのスピーチで「私たちは嫌なことを言われても笑顔で耐えなけらばいけないときもある。僕はクレージーな父親みたいだね、でも愛がそうさせるんだ。アカデミーに謝りたい、仲間やノミネートした人々にも。」といったことを言いました。

そのスピーチの日本語訳はこれです。

[ウィルスミス]アカデミー賞受賞の際のスピーチ(フルバージョン日本語字幕) - YouTube

そのあとウィルはインスタグラムで「ジェイダの病状をネタにする冗談に耐えられませんでした。クリスに公式に謝罪します。私の行動は間違っており、私がなりたい人間にふさわしくありません。愛とやさしさの世界に暴力は存在しません。」というようなことを言ってクリスに謝罪しました。

アメリカではウィルに対する批判が巻き起こりウィルは自主的にアカデミーを退会することになりました。

暴力沙汰なので刑事事件になるところだったのですが、クリスが被害届を出さないという決断をしたことによりウィルが逮捕されることはありませんでした。

以上がことの顛末です。

このことについてアメリカと日本での反応の違いが顕著で気になったのでいろいろ調べて考えてみました。

日本とアメリカの反応で多かったものをざっくりまとめてみました。

その前に前提条件を理解した方がこの違いが生まれる理由が分かりやすいと思うので書いておきます。

前提条件:アメリカは人をディスって笑いを取るのが根強い分化である。

ディスる対象は人種も地位も男女も関係ない。

アカデミーの場はセレブをディスるのが恒例だった。

アカデミーはもちろんリハーサルも台本もあるが、クリスの問題のジョークは彼のアドリブだった。

アメリカではビンタすることは本当に相手への侮辱を示すもので、その認められない度合いは日本のコメディでのビンタすら許容できないくらい。

G.I.Janeは映画の内容としては海軍に属する丸刈りの女性が男性に負けずに厳しい特訓をするといったものらしい。

主演は有名女優のデミ・ムーアです。

日本:クリスのジョークは病気という日本では絶対にネタにしないことをネタにしていてあり得ない。奥さんを侮辱している。

パートナーを守るために立ち上がったウィルはカッコいい。

暴力はだめだが、気持ちはわかる。

言葉の暴力は直接的な暴力より深い心の傷を相手に残すから、どちらかと言えば悪いのはビンタするきっかけを作ったクリスだわ。

だってビンタの痛みはすぐに引くけど言葉の暴力はずっと後にも心の傷は残るでしょ。

すごく怒っていい場面なのによくビンタで抑えたねウィル。

アメリカ:ビンタは相手をものすごく侮辱する行為、絶対にやってはいけないしオスカーでやるなんて尚更ありえない。

というか暴力もやばいけどそのあとのウィルの侮辱言葉がやばくて耐えられない。

Fワード使ってるし。

クリスのジョークは他の出演者に向けられたものに比べればめっちゃ軽いものだった。

ウィルにビンタされても感情的にならずに場を笑わせるジョークを言って自分の仕事を果たそうとしたクリスは素晴らしい。

ウィルの奥さんは不快だったら自分で抗議できる自立した女性だから別にウィルが行く必要もなかった。

以上がざっくりとした日本とアメリカの反応の違いって感じです。

自分の考えを述べる前にいろいろ調べてわかった新事実かもしれないことを書いていきます。

新事実かもしれないこと:クリスは奥さんが脱毛症でああいう髪型にしていることを知らなかったとの話もあります。

また、女性でもファッションで丸坊主にすることもあります。

坊主になりたい女性はいるみたいです。

俳優であれば女性であっても役作りで丸刈りにする人もいます。

クリステン・スチュワートとかナタリー・ポートマンが若者にも浸透していそうな方々でしょうか??

大胆イメチェン! 坊主カットにしたセレブたち|ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)公式 (harpersbazaar.com)

ジェイダは俳優です。

彼女は普段からウィルより目立とうとしている感じはありましたが、やはり立ち位置としては”ウィル・スミスの妻”といった感じですごく売れている俳優というわけではありませんでした。

ジェイダはTikTokで「脱毛症になったときはいろいろ考えたけど、私の剃った頭をみて人が何と思おうが構わない。だって私はこれが気に入っているんだもの」といった感じのことを発現していました。

G.I.Janeは良い作品扱いされてないっぽいですが、内容が面白くなかったわけではなく誇張表現や演出がイマイチだったっぽいかも。

これを踏まえて自分の考えを述べたいと思います。

自分の考え:まず日本でのクリス批判が激しいですが、クリスに共感できるシチュエーションとしては2通り考えられると思いました。

一つ目はクリスがジェイダの脱毛症のことを知らなかったシチュエーション。

知らなかったとしたら新事実かもしれない情報を鑑みると彼女の髪型をファッションでやっていると思ったのかもしれないです。

女性であの髪型は珍しくはあると思うから目立ちたがり屋の彼女がそうしていると思っていたとしても不思議ではないと思います。

また彼女が俳優であることを鑑みると役作りのためとかも考えるかもしれないです(この可能性は低そうだけど)。

そう考えたらG.I.Janeのネタの解釈も変わってくると思います。

二つ目は彼女が脱毛症であることを知っていたけど彼女がそれをコンプレックスに思っているとは思っていなかったシチュエーション。

日本で彼のジョークが反発された前提の考え方として「ジェイダは自分が脱毛症で丸刈りの頭になっていることをコンプレックスに思っている、そしてクリスロックはそのことを認識可能な状態であった」ということがあると思います。

しかし、新事実かもしれないことに書いた通り、彼女は自分の髪型を誇りに思っている、誰が何を言おうと気にしないという発言をしています。

このことは先ほど述べた「彼女が脱毛症をコンプレックスに思っている」という前提条件が崩れることを意味していると思います。

そのことをクリスが知っていたとしたら、丸刈りネタが彼女にショックを与えるとは考えなくても不思議でないと思います、だって気にしない発言してるんだもの。

そのことを鑑みると、クリスはあのネタを「脱毛症でも自分の髪型に誇りを持つなんて強いね、G.I.Janeに出てくる女性くらい強いと思ったよ」という意味で言ったとも受け取れなくはないと思います。

彼自身これは良いジョークだといったのでこの可能性もあります。

以上私がクリスに共感できる二通りのシチュエーションです。

実際のところはどうだかわからないですけどね。

悪意のあるジョークだったなら私も容認できないです。

日本人のコメントでたまに見かけるのですが「ビンタ程度なんだ」という感覚はよくわからないです。

日本のコメディのビンタとごちゃごちゃにしているのでしょうか???

日本のコメディのビンタと今回のビンタは行われているシチュエーションやビンタされる側とする側の関係性が全然違うからごちゃまぜにして語るのは違いますよね。

なんでだろう(+_+)

あと言葉の暴力は直接的な暴力よりも深く長い傷を残すというのも見かけますが違うと思います。

身体的な暴力も言葉の暴力同様相手の尊厳を深く傷つけるものであり今回事件が起こったアメリカではビンタは本当に侮辱的なやり方だったぽいです。

クリスが意図的にジェイダを侮辱していたとしても、言葉の暴力=深い精神的な暴力、ビンタ=深い精神的な暴力+身体的な暴力だったからウィルのほうが罪は重いかなとも思えます。

彼はfワード使って暴言も吐いてますからね。

暴力振るったら暴言吐いた人と同レベルになるという意見もありますが個人的には言葉の暴力と身体的な暴力はこの観点から見ると同列にはならないと思っています。

まあどっちも容認できませんが。

でもジェイダが不快になったのは明らかだしクリスもどんな意図だったのか釈明くらいしたら?とは思います。

クリスが謝っていないことがコメントで問題になったりしていますが、アメリカではクリスが被害届を出さなかったことを不届き者とか言う人もいるくらいなのでクリスが謝ったら、「お前は暴力を認めるのか<(`^´)><(`^´)><(`^´)>」みたいな人がわんさかでてくるかもしれないから謝りづらいのかもしれませんね。

裏で謝ったと信じたい、、、

以上が私個人の考えです。

この考えをまとめるにあたりYoutubeに上がっているこの事件へのリアクションは目についた範囲ではすべて見ました。

日本人のリアクションはもちろん、コメントは何百コメくらい見ましたし海外のユーチューバーやセレブ達のリアクションも日本語で読めるものはみたし海外のこの事件の動画の英語コメントも多少読みました、ニュアンスを把握できるわけではないのですが。

ツイッターはネタツイが結構流れててたいして参考にしませんでした。

また以下のいくつかのニュースも参考にしました。

参考文献(抜粋):妻の「名誉を守る」必要あった?ウィル・スミスの平手打ちをめぐり賛否両論 | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)

「私の頭を見て人が何と思おうが構わない」ジェイダ・ピンケット・スミス、アカデミー賞数日前に脱毛症について語っていた|ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)公式 (harpersbazaar.com)

クリス・ロックは何を言った?友人ウィル・スミスを怒らせた真相は! | Delivering trends (grand-journey.com)

G.I.ジェーン (sakura.ne.jp)

Youtubeはほんといろいろ見たので参考文献としてすべて挙げるのはやめときます。

数々みたYoutubeの中で特に参考になったのはBrooklynTokyoというチャンネルです。

BrooklynTokyo - YouTube

このチャンネルはアメリカに住むアメリカ人黒人男性が日本語字幕付きでいろんな動画に対するリアクションを発信するといったものです。

このチャンネルではジェイダはアメリカでは良い妻という印象はあまりなく、夫をよく侮辱して貶めることにより注目を集めようとしていた上に息子の親友と浮気をしてさらに開き直ったという話をしていました。

ウィルは妻から日常的に精神的ダメージを受けていて病んでしまいあのような理性を失った行動をとってしまったのではないかという話でした。

私は特にこの発想に同意しているわけではありませんが彼の発信したアメリカと日本での根本的な文化の違いといったところや、その他もろもろいろんな情報をこの動画から吸収しました。

彼の結論としてはクリスのジョークは軽いものであり、ウィルはほんと良くないことしたし精神的に治療を受けた方がいいんじゃないかって感じでした。

この出来事をきっかけに彼の動画は80個くらい見ました。

男性、女性の固定的な役割意識や家族というものに対する考え、LGBTに関する考え(正直表現は杉田議員並み)など彼の考え、表現には明確に同意できない点もありますが人種差別に対する考え方や、物事を捉えるときになるべく感情的にならずに冷静になろうとする姿勢、他の文化に触れる時の考え方はかなり素晴らしいと思ったので紹介しておきます。

この記事は以上になります。

読んでくださりありがとうございました。